黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)

黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)

秋になるとなぜか毎年、高村薫が読みたくなる。今年はこれからスタート。

大阪に集まった男6人が銀王の金庫から金塊を強奪するサスペンスだが、

左翼ゲリラに暴走族、北朝鮮のスパイまでからんで

およそ普通のサスペンスとは思えない複雑さと読み応えがある。

犯罪の動機の不在や

やたらとホモセクシャルすぎる人間関係などに批判は多いようだが、

そんなのリアルじゃないとでもいいたげな筆の力強さがたまらない。

虚無と力強さが相反しながら入り混じった傑作。