- 作者: 高村薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/03/29
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 46回
- この商品を含むブログ (48件) を見る
- 作者: 高村薫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1995/03/29
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (36件) を見る
第一級の原子力技術者でありながら、共産圏のスパイだった島田浩二。
闇の世界から足を洗い、大阪の小さな個人会社で細々と暮らしていたが、
自分をスパイに育てた怪紳士の江口、幼馴染みで一匹狼やくざの日野、
そして、ロシア人でありながら日本名を持つ脱走したテロリストの良。
いくつもの再会と出会いは島田を再び、
CIAに北朝鮮、永田町まで絡んだ謀略の世界に引きずり込む。
原子力と一人のテロリストをめぐる謀略小説だが、
一皮むけば、島田をめぐる男たちの嫉妬と恋愛の物語ともいえる。
良に魅せられた島田、島田を手塩にかけた江口、島田の最大の理解者である日野…。
筆致は高村薫らしくきわめて冷静だが、
男たちの思いがむせかえるようににじみ出てくる過程は圧巻。
最後に島田と日野はある大計画に挑むが、
それに至るまでの絶望感がたまらない。
陰謀と絶望、そして情熱がたっぷりつまった大傑作。
何回読んでも面白い。