ザ・ジャグル―汝と共に平和のあらんことを〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

ザ・ジャグル―汝と共に平和のあらんことを〈1〉 (ハヤカワ文庫JA)

舞台は未来。

長く続いた戦争が終結し、軌道エレベーターのふもとに作られた永久平和都市が舞台。

戦争のない世界が謳い文句のこの都市では人々が平和と繁栄を謳歌する裏では、

「ザ・ジャグル(手品師)」と呼ばれる特殊部隊が戦争の火種を秘密裏に摘んでいたのだった…。

見せかけの平和を維持するために作られた軍隊とそれを追うジャーナリストの物語。

ライトノベル出身の作者がキャラへの感情移入を極力排除して「寒い」世界だけを作り上げた。

メカの設定などは専門家に任すとして、冷戦集結以降の「戦争」をSFという形で問う異色作だ。

SFの正しい読者ではないのでSFとしてどうかは問えないが、

時代の気分は良く描けていると思う。

あとがきによると幾つもの中編で成り立ってる小説だそうで、この間は3話構成。

ぜひ全部書ききってほしい。

★★★☆