李歐 (講談社文庫)

李歐 (講談社文庫)

バイト先のナイトクラブで自分の過去の真相を追い続ける一彰と、

いきなり現れた殺し屋・李歐の出会いと青春、そして再会までを描く傑作。

母親の失踪に始まった自分の人生の清算を超えて、

李歐との出会いに生き甲斐を見出した一彰の造形が

これまでの高村作品らしくなく前向きで、いっそすがすがしい。

もちろん、闇の世界と暴力は付きまとうが、

絶対にこれはハッピーエンドになるとの予感が漂うので、すべてが効いてくる。

この前向きさは高村作品では異色も異色。女性読者が狂喜するのもわかるね。