雑司ヶ谷R.I.P.

雑司ヶ谷R.I.P.

戦後日本を闇で支配してきた教祖の死と後継者の物語というのは簡単だが、

この本にはエンターテインメントの概念をぶち壊す怨念が詰まっている。

前作『さらば雑司ヶ谷』はハードボイルドの新境地だったが、

そんな評判をあざ笑うかの如く、荒唐無けいへ突き進む筆致はまさに爽快。

価値観の打破などといった簡単な表現で済ませてくれるなとばかりに

挑発的な作者の態度と潔さが素晴らしい。2011年の名著になるだろう。