ベトナムから帰還し、DEA(麻薬取締局)の捜査員となったアート・ケラーは

メキシコの麻薬カルテル撲滅のため、警察幹部のミゲル・アンヘルバレーラと手を組む。

しかし、ミゲル・アンヘルはその権力を使い、麻薬カルテルを乗っ取り、真の権力者となる。

アートは自分を利用したミゲル・アンヘルへの復讐とカルテル撲滅を誓い、血で血を洗う戦いに没入して行くが…。

暴力と裏切りがこれでもかと盛り込まれた傑作。

約30年にも及ぶ麻薬戦争は上に書いたような生やさしい物語ではなく、

善や悪などという概念を超越した深い闇である。

アイルランド人の殺し屋や高級娼婦、イタリアマフィアにコロンビアゲリラも絡んで物語の幅は大きく広がるが、

すべてが決着した後のむなしさはこれぞ小説。いい本を読んだ。

なお、作者の次回作は故トレヴェニアンの名作「シブミ」の前日譚らしい。

早く出して!